聞き耳頭巾

hood むかし、むかし、ある所に正直者のおじいさんが住んでいました。神社にお参りするのが日課でした。
「神さま、わたしは、とても貧しくて、お供えするものは何もありません。どうかお許し下さい。」
ある日のことです。神社でお祈りしていると、何と、神さまが目の前に現われたではありませんか。
「お前の毎日の参拝には心打たれた。お前に、この赤ずきんを差し上げよう。これを身につければ、鳥の声がわかるであろう。」というわけで、赤ずきんを授かりました。
家に帰る途中、さっそく試してみました。木の枝で鳥が2羽さえずっていました。何と、鳥の言葉がわかるではありませんか。
「人間って、馬鹿なもんですね。長者の娘さん、いくら薬を飲んだところでよくなるものではないわ。」と一羽が言いました。
old man 「その通りだわ。家を建てた時、蛇が屋根裏に閉じ込められたのを知らななんて。」
「なるほど。なるほど。」とおじいさんは言うと、さっそく長者の所に行きました。
「私は、占い師であります。蛇が屋根裏に閉じ込められております。逃がしてやれば娘さんはよくなりますよ。」
長者は、冗談と思ったものの、大工を呼んで屋根裏を調べさせました。何と大きな蛇が柱に釘で打たれているではありませんか。大工は釘を抜くと蛇を自由にしてやりました。
不思議なことに、長らく患っていた娘さんは元気になり、床から起き上がりました。
「心より感謝申し上げます。」と長者さんは、おじいさんに言うと、たいそうなお金を渡しました。
おじいさんは、そのお金を村人と分け合うと、自分の分は神さまにお供えしました。(2004.7.21)

A Red Hood