花さか爺

dog 昔、昔あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日、畑仕事をしていると隣の犬がおじいさんの所へ走ってきました。隣のおじいさんが追いかけてきました。
「助けてください。殺されてしまいます。」
「どうしたんだね。」
「今朝ご主人の魚をあやまって食べてしまったのです。」
そこへ隣りのおじいさんがやって来ました。
「こいつは俺の魚を食べやがった。殺してやる。」
「どうか許してやって下さい。知らなかったのです。どうでしょう、この犬を私に千円で売ってもらえないでしょうか。」
「千円か。ちょっと安いな。一万円ならな。こいつにはえさをいっぱいやった。一万円なら売ってもいいだろう。」
「ちょっと高すぎるな。しかし犬の命が助かるなら払いましょう。」
ということで犬はおじいさんのものになりました。おじいさんは大切に育て、「ぽち」と名づけました。
ある日おじいさんはポチと山に出かけました。するとポチが突然吠えだしました。
「ここほれワンワン。」
「どうしたんだ。よしよし掘ってみよう。」
「こりゃたまげた。金貨が出てきた。ありがとうよ、ポチ。おまえは本当にあたまのいい犬なんだな。」
このことを聞くと、隣のおじいさんはポチをこっそり山につれて行くとポチに吠えさせました。
「ここほれ。」と小さく吠えました。
「ここだな。金貨を見つけて金持ちになるぞ。」
「おう箱が出てきた。何じゃこれは、蛇だ。殺してやる。」
とうとうポチは殺されてしまいました。おじいさんはポチがかわいそうで庭に墓を作ってやりました。すると不思議なことが起こりました。大きな木が墓から生えてきて、どこからともなく声が聞こえてきました。
「この木で臼をつくりなさい。」
hanasakazi おじいさんは、さっそく臼を作ると米をひいてみました。すると不思議なことが起こりました。米が小判に変わったのです。
これを聞いて、隣のおじいさんはこっそり臼を盗み出し米をひいてみました。しかし何も怒りませんでした。怒って臼を燃してしまいました。
おじいさんはその灰を家に持ち帰りました。しかし、この灰は、何と木の花を咲かせる灰でした。おじいさんは村で評判になりました。ある日おじいさんは領主のお屋敷に呼ばれました。おじいさんが灰をまくと、桜の木がいっせいに満開になりました。これには領主も大満足でした。おじいさんは沢山の褒美をもらいました。
これを聞いて、隣りのおじいさんは領主のところへ行きました。
「私こそ、桜の木を咲かせる名人です。これから咲かせましょう。」と灰をまきました。しかし何も起こりませんでした。さらに悪いことに、領主の目に灰が入ってしまいました。領主は大変怒って牢屋に入れてしまいました。(2002.2.24)


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