
一休さん
むかし、むかし京都に一休さんという頭のいいお坊さんがいました。
彼のうわさを聞いて、お殿さまは試してやろうとお城に呼び寄せました。
「一つ相談があるんじゃ。」とお殿様は言うと、一休さんを大きな虎が書いてあるつい立の前に連れて行きました。
「実は、毎晩夜になると、この大きな虎がつい立から出てくるのじゃ。一休さんよ、虎を捕まえてもらいたいのじゃ。」
一休さんはちょっと考えてから、頭に手ぬぐいを巻いて言いました。
「お殿様、私に虎を捕まえる縄を下さい。」
そして、一休さんは縄を持って、つい立の前で待ち構えました。
「お殿様、そこにいては危険です。つい立の後ろに回って虎を追い出してください。」
「何! 何と申す。つい立から虎を追い出せと。」
「そのとおりです。是非お願いいたします。追い出してもらわなくては、虎を捕まえられません。」
「ウーむ。参った。」
お殿様は一休さんの頭の良さを認めないわけにはいきませんでした。
語り:みーな@よみがたりーなWith KAI