金をうむカメ

mochituki むかし、むかし、あるところにとても貧しい老夫婦がおりました。一方、となりにはとても裕福な老夫婦がおりました。
新年を数日後に控えて、お金持ち夫婦は準備に大わらわでした。おもちをついたり、料理を作ったり。一方、貧しい老夫婦は食べるものさえありません。海辺に座って、どうしたものか途方に暮れていました。すると、美しい天使が海から現われて、言いました。
「どうしてそんなに悲しい顔をしているんですか。竜宮城へいらっしゃい。」
「私たち、貧乏人を招いてくれるなんて、これほどうれしいことはありません。」二人は驚きました。
天使が手を叩くと、三匹のカメが海から出てきました。それぞれのカメの背に乗り、竜宮城へ潜っていきました。
そんな美しいお城を見るのは初めてです。我を忘れて喜びました。そして、踊ったり、音楽を聴いたり、おいしいものを食べたりして数日を過ごしました。
ようやく村での暮らしを思い出しました。
ひと月後、おばあさんがおじいさんに言いました。
「そろそろお暇(いとま)しましょう。」
二人は天使に頼みました。
「天使さん。心からありがとうございます。地上の村に帰ろうと思います。」
「残念ですね。でもそうしたいのなら、卵を産むカメをあげます。」
kame 二人は、小さなカメをもらって家に帰りました。毎日えさを与えて大事に育てました。すると、驚いたことに、数日後、毎晩、金の卵を産みました。うわさはたちまち隣の金持ちにも広がりました。
「金を産むカメを飼っているそうだな。今晩、貸してくれ。」
貸したくはなかったのですが、金持ちは強引にカメを持っていってしまいました。でも金持ちががっかりしたことに、金は出さず、普通のうんちだけでした。
金持ちはたいそう腹を立てて、カメを大きな石に投げつけ殺してしまいました。
これを聞いて、貧しい夫婦は亡骸(なきがら)を家に持ち帰り、庭のみかんの木の下に埋めてやりました。みかんの木はどんどん大きくなり、秋には沢山の実がなりました。
「何て見事で、きれいなみかんでしょう!」
皮をむいて食べてみると、金の種が入っていました。何百個の金のみかんを収穫して、幸せで豊かな晩年を送りました。(kudos)


kinkame