だまされたキツネ

fox むかし、むかし、あるところに怠け者がおりました。一方、妻は働き者でした。
師走も末になっても、男は新年の用意はしませんでした。妻は夫に言いました。
「明日は元旦ですよ。それなのに寝てばかりいるんだから、一体何を考えているの。」
「そんなにかっかしない。考えがあるんだ。」
大晦日、男はお墓に行くと、泣いているふりをしました。その様子を見て、女の人が近づいてきました。
「どうしたんですか。」
「おい、お前は人間ではなくてキツネだな。尻尾が出ているぞ。騙せないぞ。」と笑いながら言いました。
「尻尾が出てる?人間に何度化けても尻尾を隠せないんです。どうすればいいのですかね。」
「俺の家に来たら、尻尾を隠す薬をやるよ。でも酒とおもちだけは、お礼なんと言って持ってくるなよ。死ぬほど大嫌いなんだ。」と言って帰って行きました。

男は、黒と白の二匹の犬を軒下に隠して、キツネが来るのを待ちました。
キツネがやって来ました。
「お墓にいたキツネです。薬をもらいに来ました。」
男は戸を開け、キツネを入れてやりました。
「すぐに薬を下さい。」
「クロ、シロ。出て来い。簡単に騙されるとはお前も愚かなものよ。」犬が2匹出てきました。
キツネは犬から必死で山に逃げました。
キツネは腹を立て、男が言ったこと、酒とお持ちが大嫌い、ということを思い出しました。
キツネはできる限りの酒びんとおもちを集めて家に投げ込みました。
男と妻は床に寝ながら、その物音を聞いていました。
元旦、家の中には山のような酒とおもちをありました。(Kudos)

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