弘法大師

弘法のつえ
kobo むかし、むかし、貧しいおかみさんが山里の家で一人針仕事をしていました。そこへ一人の年老いたお坊さんが訪ねてきて、水をいっぱいお願いしました。
「すみません。長旅でのどが渇きました。水をいっぱいいただけませんでしょうか。」
「いいですよ。でも今、水がきれていますので、すぐに川に取りに行って来ます。ちょっとここで休んでいてください。」
と言うと、おかみさんは、桶を持って山を下り、川に出かけて行きました。そして、いっとき後重い桶を持って戻ってきました。
お坊さんは、そのやさしさにいたく感動して、こう言いました。
「かたじけない。このような大変な仕事から解放してあげましょう。」
と言うと、お坊さんは、家の前に立ち、地面を杖でつきました。すると、どうでしょう。水が湧き出してきました。お坊さんは、いつの間にか見えなくなっていました。

水なし川
むかし、むかし、若いおかみさんが小川でさつま芋を洗っていました。そこへ、みすぼらしい、汚らしいお坊さんがやって来て、言いました。
sweet  potato 「すみません。長旅でお腹がすいております。さつまいもを一ついただけないでしょうか。」
「あんたのような、みすぼらしく、汚らしい人にあげるいもはないよ。」と断りました。
お坊さんは、川の前に立つと、目を閉じ、手を合わせると、何やら唱えました。
すると、どうでしょう。川の水が段々と少なくなり、とうとうかれてしまいました。
もうどうすることも出来ません。お坊さんは、いつの間にか見えなくなっていました。(2004.2.11)

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