さるのきも さるのきも

monkey むかし、むかしのことです。竜宮のお姫様が病気になり、占い師からこう言われました。
「さるのきもを食べれば、よくなるでしょう。」と。
父親である竜宮王は、くらげにさるを連れてくるよう命じました。
くらげが島に着いたとき、さるは木の上で海を眺めていました。
「さるさん。竜宮に遊びに来ない。」
「行きたいけど、ぼく泳げないんだ。」
「私の頭に座ってれば大丈夫よ。」
くらげは、さるを頭の上にのせ、軽やかに海の上を泳ぎ始めました。
「殺されて、きもを取られてしまうことを知らないなんて、何て馬鹿なさるなんでしょう。」と頭の上の陽気なさるのことを思いました。
くらげは、しゃべりたくなってしまいました。
「さるさん、実を言うと、お姫様がご病気で、あなたのきもが必要なの。」
「何。」と驚きましたが、落ち着いたふりをしました。
「どうして、島を出る時に言わなかったんだい。僕のきもはまだ木に掛けたままだよ。」
「じゃ、すぐに戻らなくては。」とくらげは言うと、島に戻りました。
さるは、島に着くと、くらげから飛び降り、木にすばやく登りました。
「何て馬鹿なくらげなんだ。きもは体から取れないんだよ。」とさるはくらげに言いました。
くらげはがっかりして竜宮に戻ると、このことを王様に話しました。
「罰を与える。」と王様は言うと、百叩きの刑をを家来に命じました。
そんなに叩かれたもんですから、くらげはゼリーのようなお魚になってしまいました。(2004.1.2)

kurage