豆つぶころり

bean むかし、むかし、ある所にとても働き者の正直じいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日のことです。おばあさんが家の掃除をしていると、土間の上にあった一粒の豆が転がり、かまどの中に入ってしまいました。
おじいさんは、豆一つでも粗末にしませんでしたので、かまどの中をのぞいて、豆を取ろうとしました。その時です。おじいさんは、かまどの中の穴に吸い込まれると、地下の国に来てしまいました。
そこには、お地蔵さんが立っていて、口をもぐもぐしていました。お地蔵さんは、豆を食べていたのです。
お地蔵さんは、おじいさんに言いました。
「おいしいお豆、ごちそうさん。お礼にいいことを教えてしんぜよう。この道をまっすぐ行きなされ。赤い家と黒い家が見えるであろう。赤い家では、まんじゅう作りを手伝ってあげなさい。黒い家ではおんどりの真似をして鳴きなさい。」
お地蔵さんに言われたとおり、道を歩いて行くと、最初に、赤い家が見えてきました。そこでは、ねずみが婚礼の用意をしていました。おじいさんは、お地蔵さんに言われたとおりに、まんじゅう作り手伝ってあげました。ねずみたちは、とても喜んで、おじいさんに綺麗な赤い着物をあげました。
おじいさんは、次に黒い家の前に来ました。窓越しに、鬼たちが賭け事をしているのが見えました。おじいさんは、お地蔵さんに言われたとおり、おんどりの真似をして鳴きました。
鬼たちは、朝が来たと思って、あわてて帰っていきました。そこには、お金がたくさん残っていました。
statue おじいさんは、家に帰ると、おばあさんに今日あったことを話しました。
さて、隣りのいじわるばあさんが、このことを立ち聞きしていました。さっそくいじわる爺さんに同じことをするよう急き立てました。
いじわるじいさんは、かまどの穴に豆をたくさん流し込むと、自分も地下の国に入り込みました。いじわる爺さんは、お地蔵さんに大声で言いました。
「褒美じゃ。」
お地蔵さんは、しぶしぶ、いじわる爺さんに同じことを教えてあげました。
赤い家の前に来ましたが、いじわる爺さんはねずみの手伝いをするのは嫌でしたので、猫の真似をして鳴きました。「ニヤーオ。」
いじわる爺さんは、ひどくねずみに噛まれてしまいました。
黒い家の前に来ると、鬼の姿に驚いて、おんどりの真似をするのを忘れてしまいました。
鬼たちは、いじわる爺さんを見つけると、どこかに連れていってしまいました。(2004.1.3)

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