松の木の下の老人

old man むかし、むかし、日本の南のある島に美しい娘が住んでおりました。
ある日、川で洗濯をしていると、高僧がやって来て、低い声で言いました。
「あなたは若くてきれいです、でも余命三年です。」
娘はとても驚き、家に帰ると両親に話しました。
「それはひどい。もう一度そのお坊さんを見つけて、長生きできるようにお願いしなさい。」
娘はお坊さんを見つけて、言いました。
「お坊さん、長生きするためにはどうしたらよいのでしょう。」
「お気の毒です。人には寿命があり、延ばすことはできません。」
娘は、とてもショックで泣き出しました。
「泣かないで下さい。それでは、良いことを教えてやりましょう。北に四十キロほど、真っ直ぐ行くと、千メーターの高い山があります。その山を越えていくと、また山があります。今度は二千メーターほどあります。その山を越えていくと、また別の山があります。今度は三千メーターほどあります。そしてその山のふもとに大きな松の木が三本あります。一本は二十メーター、一本は三十メーター、もう一本は四十メーターの高さです。その松の木の下に三人の老人がいて、二人は碁を打っていて、もう一人白い髭(ひげ)を生やした老人は本を読んでいます。三人の所に行って気が済むほど、お酒をご馳走しなさい。三人が満足したら、長寿をお願いしなさい。」

go これを聞いて、娘はたいそう嬉しくなりました。
次の日、酒の瓶を持って北に旅立ちました。
どんどん歩いていくと、最初の山がありました。山を越えると二つ目の山、そして三つ目の山がありました。その山のふもとに高い松の木が三本ありました。木の下に三人の老人がおりました。まさに二人は碁を、一人は本を読んでいました。でも三人と眠っているかのように全く動きませんでした。
「どうしよう。」
娘は、三人が動くのを待っていて自分も眠くなりました。そして松の木にもたれて眠ってしまいました。そして何年もが経ちました。今も娘は松の木の下で眠っています。(Kudos)


matusita