話の好きなお殿様

lord むかし、むかしある国にむかしばなしの大好きなお殿様が住んでいました。毎晩、家来を呼んではむかしばなしを話させました。家来が、次から次へ話しても、お殿様は決して飽きることはありませんでした。まもなく、家来もむかしばなしがなくなってしまいました。
家来は、相談の上、通りのあちこちにお触れを立てることにしました。
「お殿様に、『むかしばなしは飽きた。』と言わせた者に褒美を与える」というものでした。
このお触れを見て、国中の多くの人が申し出て、お殿様の前でむかしばなしを話しました。お殿様は、語り部のはなしが終わっても次から次へと話させました。語り部は、はなしがなくなってしまいました。
「それだけか?」とお殿様。
語り部は褒美もなく城を去りました。
ある日、お殿様の所へ若い女の人がやってきました。
「お殿様が飽きるまでむかしばなしを話させていただきます。」と娘。
「本当に、わしが飽きるまでむかしばなしが話せるのか。」
「勿論ですとも。でも話を始める前に、お願いがあります。間が空いたら、『それからどうした。』と言って下さい。そうしないと、前に進めません。」
「了解した。そう言おう。」
「むかし、むかし、ある所に一本に柳の木がありました。」
「それからどうした。」
「その木の穴にネズミの赤ちゃんがいました。」
「それからどうした。」
「ねずみの赤ちゃんは大きくなってその木の前の橋を渡りました。」
「それからどうした。」
girl 「大きなネズミが土手を上り、『キー、キー』と鳴きました。」
「それからどうした。」
「そのネズミは次の土手を上り、『キー、キー』と鳴きました。」
「それからどうした。」
「そのネズミはその次の土手を上り、『キー、キー』と鳴きました。」
「それからどうした。」
「そのネズミはその次の土手を上り、『キー、キー』と鳴きました。」
「それからどうした。」
「そのネズミはその次の土手を上り、『キー、キー』と鳴きました。」
娘はこの語りを百回繰り返しました。
「それからどうした。」
お殿様も同じ回数言いました。とうとう飽きてしまいました。
「もうこのむかしばなしは飽きた。」と言って、お部屋に戻ってしまいました。
娘は沢山の褒美をもらいました。(kudos)

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