
屁こき爺
むかし、むかし、ある所におじいさんが住んでいました。ある日、おじいさんは、山へたきぎを取りに出かけました。山を登っているときのことです。一羽の小鳥が飛んでくると、おじいさんの口に飛びこみました。
しばらくすると、おへそから一本の長い毛が生えてきました。おじいさんは、引っ張ってみました。すると、おならが音を奏でて、出てきました。
そのおならは、こんなふうでした。
「青々は、千代千代、五葉の宝松チンチキン。」
おじいさんは、家に帰ると、おばんさんに話しました。
「わしは、おならをすると、歌が出てくるぞ。」
「じゃ、さっそく聞かせておくれ。」とおばあさん。
おじいさんが、おならをすると、前と同じ音が出てきました。
お殿様もこのことを耳にすると、さっそくおじいさんに呼出状を出しました。
「われは、そちがおならで歌を奏でることができると聞いた。是非われのところに出向き、聞かせてほしい。」
おじいさんは、お殿様の大きな家に出向くと、恐る恐るお殿様の前に座りました。お殿様は、さっそくおならをするよう命じました。
おじいさんは、数回、おならをすることが出来ました。お殿様はしごく満足で、おじいさんに褒美を沢山与えました。
おじいさんは、お金を一杯もらって家に帰りました。おばんさんも、そんなに沢山のお金を見たことがありませんでした。
さて、いじわる爺さんとばあさんが、隣りの家に住んでいて、このことを立ち聞きしておりました。いじわる爺さんは、おじいさんに何が起こったのか聞きました。おじいさんは、今までのことを話しました。
いじわる爺さんは、山で小鳥を捕まえ、料理して食べました。お殿様の所に出かけて行きましたが、おならは出ませんでした。それどころか、うんちをしてしまいました。いじわる爺さんは牢屋に入れられてしまいました。(2003.12.31)