さる地蔵

statue むかし、むかし、ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日のことです。おじいさんは、いつものとおり、おばあさんの作ったお弁当を持って、たきぎを取りに山に出かけました。お昼になったので、木のかぶに腰掛けてお弁当を食べようとしました。
「腹が減った。」と言って弁当を開けました。その時です。突然の風が吹いて、ごはんの上のきなこの粉が舞って、顔が真っ白になってしまいました。それでも、おじいさんは、お腹がすいていて、食べるのに夢中でした。そして食べ終わると草の上に寝てしまいました。
しばらくすると、数匹のさるが山から出てきて、おじいさんの所に来ました。
「見てみろ、こんな所に、地蔵さまがあるぞ。持って帰って大事にしよう。」とボスざるが言いました。
「それがいい。」と他のさるも言いました。
さるたちは、お地蔵さん、いや、おじいさんを抱えあげました。途中、川を越えました。おじいさんは目が覚めましたが、眠っているふりをしました。山の中の大きな木の下に、さるたちは、お地蔵さんを立てると、お花やくだものや米や魚やお金をお供えしました。
夜になると、おじいさんはたくさんのお土産を持って家に帰りました。
隣りに住んでいるいじわる爺さんは、このことを耳にすると、次の日、顔にきなこをを塗って山に出かけました。そして、草の上で寝ているふりをしました。
しばらくすると、数匹のさるが山から出てきて、おじいさんの所に来ました。
monkey 「見てみろ、また、地蔵さまがあるぞ。持って帰って大事にしよう。」とボスざるが言いました。
「それがいい。」と他のさるも言いました。
川を渡るとき、いじわる爺さんは、笑いをこらえることができなくて、とうとう吹き出してしまいました。
「こいつは、お地蔵さんじゃなくて、人間だ。川に捨てろ。」とボスざるが言いました。
いじわる爺さんは、危うく溺れるところでした。(2004.1.2)


sarujizo