塩うす

むかし、むかし、ある所に兄弟がいました。
兄は欲張りで大きな家に住んでいました。弟は正直者ですが、貧しく、小さな家に住んでいました。
大晦日のことです。弟は、お正月にそなえて、兄の所へ米を借りに行きました。でも、兄は貸してくれませんでした。
途方に暮れて家に帰る途中、弟は不思議な老人に会いました。その老人は、この道を行けば、小人の住む村へ行き、そこで石臼を手に入れれば、よい事が起きる、と言うのです。
そして老人は弟に、小人が大好物の麦まんじゅうを渡しました。
小人の住む村に着くと、言われたとおり、麦まんじゅうを石臼と換えてもらいました。
帰り道、弟はまたその老人に会いました。老人は、こう言いました。
mortar 「ほしい物を言いながら右に廻せば、臼から欲しい物が出てくる。左に廻せばでてこなくなる。」と。
弟は、家に帰ると、さっそくほしい物を言いながら臼を右に廻してみました。するとどうでしょう。次から次へと出てくるではありませんか。左に廻すと、止まりました。
まもなく、弟の方が兄よりお金持ちになりました。弟は親切で、色々な物を村人に分けてあげました。
事情を知った兄は、その臼が欲しくなりました。ある日、臼と近くにあったまんじゅうを盗むと、小船で海を越えて、遠い国に逃げようとしました。
途中お腹がすいてまんじゅうを食べました。とても甘いまんじゅうで、しょっぱいものが欲しくなりました。船の上で「塩が欲しい」と言いながら臼を廻しました。すると、塩がどんどん出てきます。でもとめ方がわかりません。
船は塩でどんどん重くなり、とうとう沈んでしまいました。
今でも臼は廻りつづけ、塩を出しているそうです。海の水がしょっぱいのはそんなわけです。(2004.2.21)

siousu