豆とすみとわら

mame むかし、むかし、おばあさんがお勝手でご飯の用意をしていました。
豆をなべに入れようとすると、豆が一つこぼれて、お勝手の隅っこに転がっていきました。
藁を燃やそうと、なべの下に入れると、風が吹いて藁が一本、お勝手の隅っこの、豆のそばに飛んで行きました。
炭を、燃えている藁の上にのせようとすると、炭が一つ、お勝手の隅っこの、豆と藁のそばに転がって行きました。
「ここでたかれたり、食べられたりするのは馬鹿らしい。ねえ、神社にお参りに行かないかい。」と炭が提案し、さっそく旅に出ました。
まもなく小川のところに来ました。
「どうしよう。」と炭が言いました。
「私の上を歩かない。」と藁が言うと、体を小川の上に伸ばしました。
「豆さん、僕が先に渡るよ。」と炭が言うと、藁の上を歩きました。
ところが、藁の中ほどで下を見ると、炭は恐くて足が止まってしまいました。
「炭さん、急いで。重くてがまんできないわ。」
と藁が叫ぶと、炭と共に小川に落ちてしまいました。
それを見て、豆はおかしくて吹き出してしまいました。
girl 「何やってるの。藁さんと炭さんは。」
あまりにも笑ったので、豆は突然はじけて割れてしまいました。
「いてて、いてて。」と豆は叫びました。
そこへ、一人の娘さんがやってきて、豆さんに気がつきました。
「どうしたの。」娘さんはわけがわかりました。
娘さんは裁縫入れから、針と糸を取り出すと、はじけた体を縫ってやりました。
だらか、今でも豆には黒い筋があるのです。(2004.1.4)

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