てんとうむし
ladybug むかし、むかし、ある所に竹取職人がすんでいました。
ある日のことです。竹を取りに林に出かけると、どこからとなく呼び声がしました。
「おい、おい。」
「誰だ。誰が呼んでいるの。どこにいるの。」
「ここだよ。ここだよ。おい。ここの竹の中だよ。」
竹が森の中で一本揺れていました。切ってみると、中から小さなきれいなテントウムシが出てきました。
「ありがとう。」
「何だって、こんな竹の中にいるのだい。」
「大昔、自然を壊した罰で神様に竹の中に閉じ込められたんだ。」
「君は幾つだい。これからどうするの。」
「百四十五歳かな。森の家に帰ろうと思う。でもその前に助けてくれたお礼をしたいな。ねえ、何か望むことはあるかい。」
「本当かい。」
「本当だよ。」
「じゃ、僕は貧乏で、まだ都に行ったことはないんだ。僕は都でお侍になりたいんだ。」
そう言うと、侍になっていました。テントウムシはもういませんでした。

からす
crow むかし、むかし、春のある日、カラスは太陽にお金を沢山貸しました。でも太陽は期日になっても返してくれませんでした。
「太陽さん、お金を返して。」
「もう少し待ってくれ。必ず返すから。」と雲間に隠れながら言いました。
秋になり、カラスは太陽にまた言いました。
「太陽さん、お金を返して。」
「もう少し待ってくれ。必ず返すから。」と雨に隠れながら言いました。
雪が降り、寒い風が吹く冬になりました。カラスは太陽のところまで飛んでいきました。
「太陽さん、お金を返して。」
お金を返してくれないので、カラスは、こう言いながら空を飛び続けました。
「カネカエセ。カ・カ・・。」
「カネカエセ。カ・カ・・。」
太陽はまだお金を返していません。(2004.12.8)

tentou