
雪おんな
むかし、むかし北の国に住む一人の若者が父親と雪の中狩に出かけました。突然、天気が悪くなると二人は山小屋で夜をあかし、天気が回復するのを待ちました。
真夜中のことです。寝ていると入り口がバタンとあき、白い着物を着た一人の色白の女の人がそこに立っていました。
若者が話しかけようとすると、その女の人は父親に白い息を吹きかけました。父親はたちまち白くなると一瞬に凍ってしまいました。
雪女に、若者は身動きできませんでした。
「若いもの、お前は助けてやるが、今日のことは決して誰にも話してはいけない。」そう言うと雪の中に消えてしまいました。
次の朝、目が覚めると父親は凍って死んでいました。
それから一年が経ちました。ある雨の日のことです。美しい女の人がのきしたで雨宿りしていました。
若者は女の人を家の中に入れてあげるといきさつを聞きました。名前は「おゆき」で、身内はいません。二人はやがて恋に落ち、
結婚して子供もできました。二人は幸せな日々を送っていました。
ある雪の日のことです。若者はうっかりとあの日のことを話してしまいました。お雪はかなしい顔で言いました。
「あれほど話してはいけないと言ったのに話してしまいましたね。」
お雪は彼のもとから消えました。おゆきこそ雪女だったのです。もう人間ではいられなくなったのです。
「おゆき。おゆき。」いくら名前を呼んでも戻ってくることはありませんでした。