庭の千草
(明治17年3月「小学唱歌集(三)」)
里見 義 作詞 アイルランド民謡

chigusa 庭の千草も むしのねも
かれてさびしく なりにけり
ああ白菊 ああ白菊
ひとりおくれて さきにけり

露にたわむや 菊の花
しもに おごるや 菊の花
ああ あわれあわれ ああ白菊
人のみさおも かくてこそ

(日本語意訳)
それは夏の名残のバラ
一輪だけ咲き残る
美しき仲間たちはすでに
色褪せ散っていった
ともに咲く花もなく
小さな蕾すらない
ため息を分かち合う

あなたをけして独りにはしない
茎の上で枯れ行くがために
美しき者たちは眠れるがゆえ

行きなさい、共に眠るがいい
そして私はあなたを手折り
土の上に優しく散らすだろう
その庭のあなたの友だちが
香りなく散り敷く場所に

まもなく私も後に続くだろう
友情が消えてゆく時に
そして愛の輝ける輪から
宝石たちがこぼれ落ちる
真実の心が枯れてしまい
愛しき者たちも去って行く
ああ、誰が生きて行けようか
この荒野のごとき世界に独りきりで(2010.8.1)


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